1本の糸をすくい上げながら仕上げていくサガラ刺繍には、美しくて優しいデザインという魅力があります。刺繍に興味がある方の中には、サガラ刺繍について詳しく知りたいという方もいるでしょう。そこで今回は、サガラ刺繍の特徴や歴史、代表的な縫い方について解説していきます。
チェーンステッチなどの縫い方があるサガラ刺繍とは?
刺繍にはさまざまなタイプがあり、特徴・方法・仕上がりはそのタイプごとにそれぞれ異なります。まずは、サガラ刺繍の歴史や特徴について見ていきましょう。
サガラ刺繍とはどのような縫い方?
サガラ刺繍とは、1本の糸をすくい上げながら模様を描く刺繍方法のことで、一般的なかぎ状になっている針を用いて刺繍をします。このサガラ刺繍では、主にハンドル刺繍用やサガラ刺繍用などが採用されます。糸が切れたり生地を傷めたりしないよう、慎重に針を選ばなければなりません。
サガラ刺繍の歴史はいつから?
サガラ刺繍(漢字表記では相良刺繍)の発祥は中国といわれており、日本では奈良時代に伝わったとされています。当初は仏像の巻き毛部分に用いられており、その後さまざまな用途で使われるようになりました。なお、刺繍の中でも蘇州刺繍・スワトウ刺繍・サガラ刺繍は三大刺繍といわれています。
サガラ刺繍が見られるようになったのは1900年代後半です。それまでは手ハンドルによるミシンで1枚ずつ丁寧に加工していましたが、日本の刺繍メーカーによって自動化されるようになりました。現在ではジャガード刺繍機と一体化している機械を使用しており、高度なデザイン表現が可能です。
手ハンドルが使用されていた時代では、職人の感覚によってさまざまな模様が描かれていました。しかし、現在では電子制御されており、縫い方や色替えなどを自動で行えるようになっています。
サガラ刺繍の特徴や魅力
サガラ刺繍の魅力は美しい立体感です。パイル上に埋め込まれた刺繍を作ることが可能なため、ボリューム感のある優しい仕上がりにできます。また手触りが良く、さまざまな用途に使えるのもメリットのひとつです。
サガラ刺繍の注意点
サガラ刺繍の加工をしたときには、アイロンの使用に注意しましょう。サガラ刺繍はフワッとした手触りが特徴ですが、洗濯後にアイロンをかけてしまうとボリュームが失われてしまいます。サガラ刺繍の魅力が失われてしまうので、刺繍を施した部分にアイロンをかけるのは避けた方が良いでしょう。
また、生地との相性にも注意しましょう。かぎ針を使用するため、糸引きや穴あきなどのトラブルが生じるおそれがあります。糸引きとは刺繍の糸がもつれる現象のことであり、これによって糸が擦れやすくなるため、場合によっては切れてしまうことも珍しくありません。
一方、穴あきは刺繍部分に穴が開いてしまうことを指す言葉です。主に繊維を切断するときに起こる現象で、穴あきが発生したら適切な処置を施さなければなりません。このようなトラブルを避けるために、サガラ刺繍をする際には機械の正しいセッティング・素材の選定・刺繍データの作成などをしなければならないのです。
サガラ刺繍にはチェーン以外にも縫い方がある
サガラ刺繍にはさまざまな縫い方があるので、基本的な縫い方の特徴を理解しておきましょう。次項では、チェーンステッチを含む3つのステッチについて解説します。
チェーンステッチ(サガラチェーンステッチ)
チェーンステッチとは、鎖のように糸を縫い止める手法のことです。一般的には、糸をすくい上げるときの針の高さなどを調整しながら刺繍を進めていきます。このチェーンステッチは、主に大きなアクセントをつけたいときやワンポイントの柄をつけたいときに採用されています。
ループステッチ(サガラループステッチ)
ループステッチは、糸をかぎ針に引っかけて少しずつ引き上げながら縫っていく手法のことです。ループステッチを行うことでループが形成され、パイル状に仕上がります。これによってボリューム感が出るため、ループステッチは比較的広い面積にサガラ刺繍を施すときに活躍する手法といわれています。
ミックスステッチ(サガラミックスステッチ)
ミックスステッチとは、チェーンステッチとループステッチの両方を組み合わせた手法のことです。一般的に面の部分にループステッチを施し、輪郭の部分にチェーンステッチを施します。このミックスステッチは用途によって糸の素材を変えることが可能で、さらに使用する素材によって雰囲気を変えられるため、より立体的なデザインに仕上げられます。
まとめ
サガラステッチの魅力は立体的な美しさにあり、通常の刺繍にはない優しさややわらかさを感じられるでしょう。また、鎖状に縫い止めるチェーンステッチは大きめの柄やワンポイントのアクセントなどに適した手法なので、興味をお持ちの方は一度試してみてはいかがでしょうか。
「SAGARA(有限会社 福田商店)」はサガラ刺繍やスパンコール刺繍の専門店で、主にジャケットやTシャツ、舞台衣装などの刺繍を行っております。古くから採用されている手ハンドルという手法を使い、お客様のご要望に見合った一着を丁寧に仕上げております。電話やメールから見積もりに関するご相談を受け付けておりますので、ご用命の際はお気軽にお問い合わせください。